税務顧問とは?中小企業経営者が知っておきたいメリットと活用法
経営者として日々の業務に追われる中、「効率的に節税したいけど方法が分からない」「税務署の対応が負担だ」など、税務対応に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。特に、税務に関する知識が不十分だと、正しい判断が難しく、リスクを抱えてしまうこともあります。そんな税務の課題に立ち向かうための心強いパートナーが「税務顧問」です。しかし、「税務顧問」という言葉は耳にしたことがあっても、実際にどのようなサポートが受けられるのかを詳しく理解している経営者は少ないかもしれません。本記事では、税務処理や節税対策に不安を抱える企業様に向けて、税務顧問の具体的な役割やメリット・デメリットを分かりやすく解説します。税務顧問に依頼できる業務内容や、導入すべきタイミングについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
・税務顧問とは
・税務顧問をつける7つのメリット
・税務顧問をつけるデメリット
・税務顧問を契約するベストなタイミング
・税務顧問を探す5つの方法
・税務顧問を選ぶ際の注意点
・まとめ
税務顧問とは
税務顧問とは、企業が税理士と顧問契約を結び、定期的に税務や経理に関するアドバイスやサポートを受ける契約です。通常、1年単位で契約更新しますが、必要に応じてスポット(単発)で依頼することも可能です。事業運営する上で、正確な税金の申告や納付は欠かせません。しかし、税金の計算には専門知識が必要で、資料整理や会計処理、決算書作成など多くの業務が伴います。これらの作業を日常業務と並行して行うのは負担が大きいため、税理士に継続的なサポートを依頼することで、税務に関する煩雑な作業から解放され、本業に集中できるようになります。また、顧問税理士は企業の財務状況を常に把握しているため、必要なときに迅速かつ的確な対応が期待でき、長期的に信頼できるビジネスパートナーとして経営を支えてくれる存在となるでしょう。
税務顧問に依頼できる業務内容
税務顧問は、クライアントの利益を最大限に守るため、以下の総合的な支援を行います。
✓ 節税対策
✓ 税務代理
✓ 節税対策
✓ 経営支援
✓ 税務相談
✓ 経理指導
✓ 記帳代行
✓ 税務申告
✓ 給与計算
✓ DX支援
✓ 税務調査への対応 など
特に、税務代理は税務顧問の中で最も重要な業務の一つです。確定申告や税務調査の立ち合いなど、経営者の代理人として税務署とのやりとりを行い、負担を軽減します。また、税務顧問は単に税務処理をサポートするだけでなく、決算対策や資金繰りの相談にも応じ、長期的な経営戦略のアドバイザーとしても役立つでしょう。
税務顧問をつける7つのメリット
税務顧問をつけるメリットは、以下の7つです。
● 適切な節税対策を実行できる
● 経理業務の負担軽減で業務効率が図れる
● 資金調達が円滑になる
● 税務調査への対応に不安がなくなる
● 税務に関する疑問をいつでも解決できる
● 正確な税務申告で追徴課税を回避できる
● 他の専門家との連携が強化される
税務顧問をつけることで、企業の経営や税務処理における負担を軽減し、さらにはビジネスの成長を支援するさまざまなメリットがあります。メリットを活かすことで、企業は本業に集中でき、より安定した経営環境を築くことが可能です。
適切な節税対策を実行できる
顧問税理士は企業の財務状況を継続的に把握し、法律に沿った最適な節税方法を提案します。これにより、企業は税負担を最小限に抑えつつ、手元の資金を有効活用し、経営資源の効率化を図ることが可能です。「節税」とは、税法が定める範囲内で合法的に税負担を軽減する手段を指します。例えば、控除や特例措置を活用することが一般的です。企業にとって税負担を抑えることは重要な課題ですが、行き過ぎた節税は脱税や租税回避と見なされるリスクがあります。リスクを避けるためにも、顧問税理士のアドバイスのもと税法に準じた正しい節税対策を行うことで、最大限の税務効果を引き出せるでしょう。なお、節税効果を高めるには、事前の計画が欠かせません。決算直前に急いで対策を講じても、十分な効果を得ることは難しいため、年間を通じて早期に対応することが重要です。そのため、税理士が企業の経営状況を継続的に把握できる顧問契約の方が、スポット契約よりもはるかに効果的な節税対策を実施できるでしょう。
経理業務の負担軽減で業務効率が図れる
税理士が経理業務を代行することで、以下の手間を軽減できます。
✓ 記帳代行
✓ 入金チェック
✓ 領収書整理
✓ 売掛金・買掛金の管理
✓ 給与計算
✓ 年末調整 など
企業の経理業務は特定の担当者に依存しやすく、担当者が退職すると引き継ぎや採用、教育に多大なコストと時間がかかります。しかし、税務顧問契約を結ぶことで、リスクを回避し、人手不足や引き継ぎの手間を軽減できます。特に、中小企業にとっては、日常の経理負担が大幅に減り、本業に集中できる環境を整えられるでしょう。
資金調達が円滑になる
企業経営において、資金繰りは重要な課題の一つです。資金調達にはさまざまな方法がありますが、顧問税理士がいることで、自社に最適な以下の資金調達方法を提案してもらえます。
✓ 補助金
✓ 金融機関からの融資
✓ ベンチャーキャピタルからの出資 など
融資を受ける際には、決算書や法人税の申告書の控えが必要ですが、顧問税理士の記名・印があることで、金融機関からの信頼性が増します。借入後も顧問税理士が経営や財務状況を定期的にチェックし、適切なタイミングでの借り換えなどを提案してくれるため、長期的に有利な条件での融資が実現できるでしょう。
税務調査への対応に不安がなくなる
顧問税理士を持つことで、税務調査への不安が大きく軽減されます。顧問税理士と契約中であれば事前に相談ができるため、必要な書類や注意事項について的確なアドバイスを受けられます。調査当日には、税務署との交渉や立ち会いも依頼でき、万が一の際も精神的な負担が減り、適切に対処することが可能です。また、「書面添付制度」を利用することで、税理士への意見聴取だけで調査が終わる可能性もあります。安心して税務調査に臨めるでしょう。
税務に関する疑問をいつでも解決できる
顧問税理士が身近にいることで、日常の税務に関する疑問や悩みをすぐに解決できる環境が整います。税務に関するアドバイスは法律で認められた税理士における独占業務の一つです。そのため、たとえ無償であっても他の要件を満たせば無資格者による税務相談はペナルティの対象となる可能性もあります。また、税務面だけでなく、経営全体を俯瞰して広範な事業課題にも安心して備えられる体制が整います。顧問税理士は、日常的に財務データを管理しているため、経営に対する的確なアドバイスを受けられるでしょう。さらに、必要に応じて経営コンサルティングを依頼することで、経営課題への包括的なサポートも期待できます。なお、メールや電話など、状況に応じて迅速に対応してもらえるため、わざわざ事務所に出向かずともスムーズにサポートを受けられるのも大きなメリットです。
正確な税務申告で追徴課税を回避できる
税務申告に誤りがあると、加算税や延滞税といった追徴課税が発生する可能性があります。追徴課税は、本来の納税額に上乗せされて支払わなければならないため、企業にとっては大きな負担です。また、税務書類の作成には専門的な知識が求められます。しかし、確定申告や年次決算、さらには相続税の申告など、さまざまな書類を正確に作成するのは簡単ではありません。顧問税理士に依頼することで、煩雑な書類作成がスムーズに進み、税務署への提出まで正確に対応することが可能です。万が一、税務署からの指摘や調査があった場合でも、事前に税理士が確認しているためリスクを最小限に抑えられます。すべてを任せることで、手間や不安も大幅に軽減されるでしょう。
他の専門家との連携が強化される
顧問税理士を持つことで、税務以外の問題にもスムーズに対応できる環境が整います。多くの税理士は、司法書士や弁護士、社会保険労務士といった他の専門家とのネットワークを持っており、必要に応じて適切な専門家を紹介してもらうことが可能です。事業を進めるうえで、顧客トラブルや労務問題、契約に関する法的対応が必要となった際に、税理士を介して信頼できる専門家にアクセスできるのは大きな強みです。事業運営における幅広い課題に対処できる体制を強化できるでしょう。
税務顧問をつけるデメリット
税務顧問をつけるデメリットは「コストの発生」のみです。特に経営が安定していない状況では、税理士報酬が大きな負担になる可能性があります。また、法人の場合、個人事業主に比べて料金が高くなるケースが一般的です。自身に税務知識があり、税理士に相談することがない期間が長い場合は、コストを支払ってまで契約するメリットが薄れてしまうこともあるでしょう。ただし、税理士との顧問契約により、最新の節税方法についてのアドバイスも受けられます。総合的に見ると、節税によるリターンや、会計にかけていた時間を本業に専念でき売上アップを図れる点から、顧問税理士にかかるコストは必ずしもデメリットとは言えないでしょう。
税務顧問を契約するベストなタイミング
顧問税理士を契約するベストなタイミングは、以下の5つです。
1. 法人設立前後
2. 初めての決算時
3. 売上が1,000万円を超えた時
4. 会計処理するのが難しいと感じた時
5. すべてをプロに任せたい時
創業前には、登記申請や資金調達など専門知識が必要な場面が多いため、この時点で税理士と顧問契約を結ぶ事業者が多く見られます。また、法人の決算は複雑で、正確な確定申告が求められます。創業後すぐに決算を迎える場合も、税理士との契約が役立つでしょう。ただし、初めての決算や確定申告を直前に依頼すると、適切な節税対策が遅れる可能性があります。また、直前の依頼は費用が高額になりやすいため、早めに契約を結ぶことで、安心して経営に専念できるでしょう。
税務顧問を探す5つの方法
税務顧問先を探す方法は、以下の5つです。
1. インターネットで検索
2. 家族や知人からの紹介
3. 商工会議所や金融機関からの紹介
4. 税理士紹介サービスの活用
5. 税理士主催のセミナーへ参加
まず、インターネット検索を活用すれば、税理士法人の得意分野やサービス内容、立地などを事前に把握できます。日本税理士連合会の公式サイトからも簡単に検索できるため、手軽に情報を収集できるでしょう。また、家族や知人からの紹介を活用するのも効果的です。信頼できる税理士を紹介してもらうことで、安心感が高まります。事前に評判やサービス内容を聞けるのも、大きなメリットです。しかし、相性が合わない場合に断りにくくなったり、仕事の進め方や料金に関して指摘しにくかったりするかもしれません。そのため、紹介を受けた場合でも、必ず面談を行い、信頼関係を築けるか確認することが大切です。他にも、税理士が主催するセミナーに参加することも有効な方法の一つです。セミナーでは税務知識を学びながら、税理士の人柄や専門性を直接知る機会を得られます。セミナー後に個別相談の時間が設けられている場合もあるため、疑問点をその場で解決しつつ、信頼できる税理士との出会いにつなげられるでしょう。なお、名古屋総合税理士法人では、最新の税制情報や実務に役立つノウハウなどを提供するセミナーを定期的に開催しています。税務に関する知識を深めるとともに、信頼できる税務顧問を見つけたい方は、お気軽にご参加ください。
税務顧問を選ぶ際の注意点
顧問税理士の選び方で失敗すると、会社の成長を阻むだけでなく、税務上のトラブルで損失を被り、最悪の場合には経営が行き詰まるリスクもあります。そのため、税務顧問を選ぶ際は、以下のポイントを意識して慎重に行う必要があります。
● 相性が合うか
● 積極的にアドバイスや提案をしてくれるか
● 自社の業界に対する知識が豊富か
● 料金体系は明瞭か
● 必要なサービスに対応しているか など
長期的に信頼できるビジネスパートナーとして、税理士の専門的スキルだけでなく、性格や対応力も重要な判断材料です。年齢や経験だけで判断せず、自社のニーズをしっかり理解し、優先して考えてくれるかどうかを確認しましょう。また、メールや電話でのやりとりだけでなく、実際に対面で会い、その人柄を直接確認することも大切です。面談の際には、自社が抱えている悩みや疑問点を率直に伝え、税理士がどのように受け答えするかを見極めます。的確でわかりやすい説明をしてくれるか、誠実で丁寧に対応してくれるかを確認し、信頼できるかどうかを判断しましょう。
まとめ
税務顧問は、税務や会計の負担を軽減し、経営全体のサポート役となる重要な存在です。税理士と顧問契約を結ぶことで、税務だけでなく、経営のあらゆる場面で力を発揮するパートナーとなり、企業の成長を後押ししてくれるでしょう。名古屋総合税理士法人は、50年以上の歴史を持ち、多様な法人様の税務顧問としての実績を誇ります。業界のトレンドを熟知し、常に進化する税制に対応する圧倒的な知識を活かして、あらゆるニーズにお応えします。初回のご相談は無料で承っておりますので、お気軽にお申し込みフォームからお問い合わせください。