ガソリン補助金はいつまで?仕組みや期限、家計・企業への影響を解説
ガソリン価格は、約4年半ぶりに150円台まで下がる地域が現れるなど、ようやく落ち着きを見せ始めています。この価格維持を支えているのが政府の「ガソリン補助金」です。しかし、補助金は恒久的ではなく、2025年12月末で終了することがすでに決定しています。
さらに、補助金の終了にあわせて、ガソリン税制の見直しも進められています。そのため、「負担はどこまで増えるのか」「事業コストにどの程度影響するのか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、補助金の仕組みや対象油種、スケジュール、家計や企業への影響について、最新情報をもとにわかりやすく解説します。中小企業が燃料費の上昇に備えて活用できる支援策も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
※本記事の内容・数値は、2025年12月時点の公表資料および制度に基づいています。
目次
・ガソリン補助金は2025年12月31日で終了
・そもそもガソリン補助金とは
・ガソリン補助金と暫定税率の関係
・【名古屋版】ガソリン価格はいつから下がるのか
・ガソリン補助金終了が与える家計・企業への影響
・中小企業が活用できる補助金・支援策
・まとめ
ガソリン補助金は2025年12月31日で終了
ガソリン補助金(正式名称:燃料油価格激変緩和補助金)は、2025年12月31日でガソリン分、2026年4月1日に軽油分が終了する予定です。政府はガソリン税制の抜本的な見直しを見据え、2025年11月13日からガソリン・軽油の価格安定を目的とした補助金を段階的に拡充しています。
政府の最新方針とガソリン補助金の推移
ガソリン補助金の段階的拡充スケジュールは下表のとおりです。


ガソリン補助金は、一度に大きく引き上げるのではなく、1回あたり最大5円程度の幅で段階的に拡充されます。
出典:資源エネルギー庁|ガソリン・軽油の暫定税率廃止に向けた補助金の段階的拡充について(外部リンク)そもそもガソリン補助金とは
ガソリン補助金とは、燃料価格の急激な上昇によって、家計や事業活動に与える影響を和らげるために設けられた政府の支援制度です。
ロシア・ウクライナ情勢の長期化に加え、円安の進行や輸送コストの上昇が重なり、近年はガソリンや燃料油の価格が大きく上昇しました。その結果、通勤・通学の負担が増え、物流・農業・製造業では燃料費が収益を圧迫する状況が続いています。こうした状況を受け、政府は物価高への迅速な対応と経済活動の下支えを目的として、2022年1月にガソリン補助金を導入しました。
制度開始当初は、全国平均価格が一定水準を超えた場合に補助額を調整する「価格基準型」の仕組みでした。しかし、2025年5月からは考え方が見直され、原則として1リットルあたり10円を支援する定額方式へ移行しています。
ガソリン補助金の対象となる油種と補助額
ガソリン補助金の対象となる油種は、下表の5つです。

補助額だけを見ると、ガソリンが最も手厚く、灯油や重油は比較的小さく抑えられています。そのため、一般家庭ではガソリン価格の安定効果が出やすい一方、物流・建設・農業など「軽油中心」で稼働する事業では、負担感が残りやすい点に注意が必要です。補助金の影響を判断する際は、単に金額の大小を見るのではなく、自社の車両や設備がどの油種にどれだけ依存しているかを基準に考えることが重要です。
ガソリン補助金と暫定税率の関係
ガソリン補助金は、税制が切り替わる際に価格が急激に変動しないよう、当面の負担をならすためのつなぎとして位置づけられています。
もともと暫定税率は一時的な措置として導入されました。しかし、その後も長く維持されてきたため、見直しの際にはガソリン価格が大きく上下する可能性があります。そこで政府は、補助金を段階的に拡充し、最終的に暫定税率と同水準まで引き上げることで、制度変更による影響を分散させる狙いがあります。
ガソリン暫定税率とは
暫定税率とは、本来のガソリン税に一時的な措置として上乗せされている部分を指します。そもそも、私たちが支払っているガソリン税には、以下の3つが含まれています。
✓ 揮発油税(国税)
✓ 地方揮発油税(地方税)
✓ 消費税
ガソリン税の基本となる「本則税率」は、揮発油税24.3円と地方揮発油税4.4円を合わせた28.7円です。ここに暫定的な上乗せ分25.1円が追加され、現在は1リットルあたり53.8円の税額となっています。
なお、暫定税率が導入されたのは1974年。当初は、道路整備の財源不足を補うための時限措置でした。その後、制度や使い道が見直され、2009年には道路整備などに限定されていた「道路特定財源」から、幅広い分野に使える「一般財源」へと切り替えられています。道路整備が進んだ現在も、財政事情や環境面への配慮などを理由に、上乗せ分は継続しているのが現状です。
【名古屋版】ガソリン価格はいつから下がるのか
名古屋周辺では価格競争が激しく、補助金の増額分が比較的早く店頭価格に反映されやすい傾向があります。12月22日の調査では、愛知県のレギュラーガソリン価格は151.2円と全国最安値を記録しました。
全国の店頭現金小売価格は、以下の通りです。
● レギュラーガソリン:158.0円(前週比1.7円下落、7週連続の値下がり)
● 軽油:145.5円(前週比0.5円下落、7週連続の値下がり)
● 灯油:122.1円(18リットル換算で2,198円、前週比3円下落、2週ぶりの値下がり)
しかし、年明け以降は在庫の入れ替わりとともに、この安さがどの程度維持できるかが注目されます。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁|石油製品価格調査 調査の結果(外部リンク)ガソリン補助金の効果が表れる時期
ガソリン補助金は、ガソリンスタンドに直接支払われるのではなく、まず石油元売り会社に支給されます。そこからガソリンスタンドが仕入れる際の「卸価格」に反映されるため、元売り → 流通 → 小売という構造上、補助金が増額されても店頭価格にすぐ反映されるわけではありません。
店頭価格に反映される速度は、以下の要素で左右されます。
✓ ガソリンスタンドごとの在庫の入れ替え状況
✓ 近隣スタンドとの価格競争の有無
✓ 輸送コストや物流の違い など
そのため、地域やガソリンスタンドごとに価格の下落タイミングに差が生じます。また、ガソリン価格は補助金だけで決まるものではありません。原油価格の動きや為替相場などの影響も受けるため、補助金が増額されても、店頭価格が同じタイミングで下がるとは限らない点に注意が必要です。
ガソリン補助金終了が与える家計・企業への影響
ガソリン補助金が2025年末で終了すると、2026年以降の燃料価格は、原油価格や為替、国内の需給動向といった市場要因の影響をこれまで以上に受けることになります。ここでは、価格の見通しとあわせて、生活や事業への影響を解説します。
家計への影響
補助金終了後は多くの家庭でガソリン代が恒常的に増え、生活費全体を押し上げる可能性があります。
ガソリン補助金はガソリン税制の見直しと同時に終了するため、ガソリン価格には 1リットルあたり25.1円の上昇要因が加わります。もっとも、補助金は石油元売り会社に支給されている制度です。終了したからといって、店頭価格がその日のうちに跳ね上がるわけではありません。ガソリンスタンドの在庫が入れ替わるにつれて、年明け以降、徐々に値上がりしていくと見込まれます。
政府の試算では、補助金終了による負担増は1世帯あたり年間約12,000円。月に換算すると約1,000円です。ただし、通勤や送迎などで車の利用頻度が高い家庭では、年間2万円以上の負担増となる可能性もあります。
特に影響を受けやすいのは、車が生活の中心となっている地方部です。公共交通が少ない地域では、ガソリン代の上昇は「節約できる支出」ではなく、食費や光熱費に近い固定費として家計にのしかかるでしょう。
企業・物流への影響
企業にとっては、燃料費の上昇が物流コストを通じて収益や価格戦略に影響を及ぼします。
軽油は補助金及び税制の見直しが2026年4月1日とやや遅れますが、補助金終了後は1リットルあたり17.1円の上昇が見込まれています。軽油はトラック輸送やバス事業など、物流・公共交通の中核を担う燃料であるため、価格上昇は運送業界全体のコスト増に直結します。
例えば、長距離輸送を担うトラック事業者では、燃料費は人件費に次ぐ大きなコストです。補助金終了によって燃料費が恒常的に増えれば、企業努力だけで吸収することは難しく、運賃の引き上げやサービス内容の見直しを迫られるケースも出てくるでしょう。
また、燃料費の上昇は物流業界だけの問題ではありません。運送コストが高くなると、食品や日用品、建材など、幅広い分野の仕入れ価格に影響が及びます。その結果、小売価格の引き上げにつながり、最終的には消費者物価全体を押し上げる要因となり得ます。
特に中小企業では、燃料費の増加が キャッシュフローの悪化につながる点に注意が必要です。単価改定や配送ルートの見直しなど、コスト管理策を早めに検討することが重要です。
中小企業が活用できる補助金・支援策
燃料費の負担が増える局面では、「コストを抑える工夫」と同時に、「使える支援を見逃さない」ことが重要です。国や自治体では、エネルギー価格の上昇に直面する中小企業を支えるため、以下のような制度を整備しています。
● 愛知県貨物自動車運送事業者燃油価格高騰対策支援金(外部リンク)
● 小規模事業者持続化補助金(外部リンク)
● ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(外部リンク)
● 省力化投資補助金(一般型/カタログ注文型)(外部リンク)
● 中小企業新事業進出促進補助金(外部リンク)
● IT導入補助金(外部リンク)
● 事業承継・M&A補助金(外部リンク)
● 中小企業成長加速化補助金(外部リンク)など
補助金や支援策を組み合わせることで、燃料費上昇による負担を抑えながら、事業成長や設備投資を後押しできます。まずは、自社の取り組みに合う制度がないか確認してみましょう。
ただし、補助金などの制度は、景気動向や政策目的に応じて内容が見直されます。公募時期や対象要件は随時変更されるため、県や各市町村の公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。
名古屋総合税理士法人では、補助金分野に特化した専門チームが、申請から実績報告までを一貫してサポートします。補助金の活用や申請でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
まとめ
ガソリン補助金は、物価上昇が続く中で、企業活動や日常生活への負担を和らげるための重要な支援策です。特に中小企業や個人事業主にとっては、燃料費の抑制を通じて、固定費の軽減や資金繰りの安定につながる側面があります。しかし、ガソリン補助金は恒久的な制度ではありません。補助金の効果に頼りきるのではなく、価格上昇を前提とした資金計画や、利用できる補助金の情報収集を進めておくことが重要です。