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ふるさと納税のポイント還元が2025年で終了|廃止の理由や影響

ふるさと納税は、2008年の制度開始以来、年々利用が広がり、2023年度の寄附総額はついに1兆円を突破。今では、多くの人が活用する身近な制度となっています。

寄附額の3割相当の返礼品が実質2,000円の負担でもらえる点に加え、一部のポータルサイトで提供されてきた「独自ポイント」も、寄附を後押しする魅力の一つでした。しかし総務省は、制度本来の趣旨である「地域支援」に立ち返るべきとして、2025年10月からポータルサイトによるポイント付与を禁止する方針を打ち出しました。

本記事では、ポイント還元の廃止がふるさと納税に与える影響と、今のうちに取るべき対策についてわかりやすく解説します。

目次

ふるさと納税のポイント・特典はなぜ廃止されるのか
ふるさと納税のポイント還元はいつまで?
ふるさと納税のやり方
ふるさと納税の駆け込み寄附はお得?今やるべき対策とは
まとめ

ふるさと納税のポイント・特典はなぜ廃止されるのか

ふるさと納税のポイントや特典が廃止されるのは、制度本来の健全性を守るためです。

もともとふるさと納税は、「応援したい自治体に寄附をして地域の活性化を支援する」という趣旨で始まった制度です。しかし、多くのポータルサイトでは、寄附額に応じたポイントやギフト券、マイルなどのお得な特典が付与されるようになりました。その結果、「どこを応援したいか」よりも「どれだけ得か」で寄附先を選ぶ傾向が強まり、特典競争が過熱していました。

加えて、ふるさと納税の受付を外部サービスに委託している自治体は、その対価として運営事業者に手数料を支払っています。総務省は、この手数料がポイント原資に使われている可能性があると見ており、寄附金が本来の目的である地域支援に十分活用されていない点を懸念しています。こうした状況を是正し、自治体の負担を軽減するため、2025年10月からのポイント付与禁止が決定されました。

ただし、運営各社は「ポイント付与は自社負担であり、自治体の手数料とは関係ない」と反論しており、見解の相違があります。そのため、ポイント制度が廃止されたとしても、今後手数料が引き下げられるかどうかは、現段階では明らかになっていません。

参照:総務省|ふるさと納税の指定基準の見直し等(外部サイト)

ふるさと納税のポイント還元とは

ふるさと納税における「ポイント還元」とは、ポータルサイトを経由して寄附をした際に、寄附額に応じてポイントやギフト券、マイルなどの特典がもらえる仕組みを指します。

ふるさと納税は、基本的に各自治体が寄附の受付や返礼品の手配などを行っています。ただし、寄附を集めるには、返礼品の魅力を広く伝える必要があるため、多くの自治体は「ふるさと納税サイト(ポータルサイト)」を通じて全国に情報発信を行っています。ポータルサイトを使うことで、寄附の申し込みや決済手続きが簡単になり、寄附者にとっても利用しやすい仕組みとなっています。

さらに、一部のサイトでは独自の「ポイント制度」を設けており、寄附に対する実質的なリターンとして人気を集めています。

楽天がふるさと納税ポイント廃止に反対|署名や無効化訴訟の動き

2025年7月10日、楽天グループ株式会社は、ふるさと納税制度におけるポイント付与の全面禁止を定めた総務省の告示について、その無効を求める行政訴訟を東京地方裁判所に提起しました。

楽天は、同告示が「自治体と民間企業が連携してふるさと納税を広めてきたこれまでの取り組みを否定し、かつ制度の趣旨を逸脱する過剰な規制である」と主張。ポイント付与はプラットフォーム事業者が自社の負担で行っており、自治体や制度の財源に影響を与えるものではないという立場を示しています。また、楽天はポイント制度の継続を求める署名活動も行い、2025年3月には約295万筆の署名を三木谷浩史会長兼社長が首相官邸に提出するなど、撤回を求める動きを強めています。

一方、他のポータルサイトを運営する事業者の多くは、今回の見直しを前向きに受け止めています。例えば「さとふる」は「制度の健全な発展に資するもの」とコメントし、「ふるなび」や「ふるさとチョイス」も「制度の趣旨に沿って今後も運営していく」との姿勢を明らかにしています。

制度の適正化をめざす総務省側は、「寄附者や自治体にとって本来の意義にかなった仕組みとなるよう、引き続き丁寧に説明していく」としています。

ふるさと納税のポイント還元はいつまで?

ふるさと納税のポータルサイトを通じたポイント還元は、2025年10月1日をもって廃止されます。

総務省は2024年6月、ふるさと納税制度の運用方針を見直し、ポータルサイトが提供している独自のポイント還元サービスを禁止する方針を正式に発表しました。これにより、2025年10月以降は、寄附額に応じたポイントやマイルなどの特典を受け取ることはできなくなります。

なお、対象となるのは「ポータルサイトが提供するポイント還元」に限られており、クレジットカード決済で付与されるカード会社のポイント等は、今回の規制の対象外です。

駆け込みでお得に寄附するには2025年9月末までが目安

ポイント還元を利用してお得にふるさと納税をしたい方は、2025年9月30日までに寄附を完了させることが一つの目安になります。

ただし、ポータルサイトや決済方法によっては、「寄附の申込日」だけでなく、「決済完了日」や「自治体側での受付処理完了日」が基準になる場合もあります。締め切りが近づくと寄附申込が集中し、サイトや自治体の対応が遅れる可能性もあるため、余裕をもって早めの手続きをおすすめします。

ふるさと納税のやり方

ふるさと納税の基本的な流れは、以下の通りです。

1. 控除上限額を把握する
2. 寄附先と返礼品を選ぶ
3. 税金控除の手続きを行う

ふるさと納税の申し込みを行うと、後日、寄附先の自治体から返礼品が届きます。あわせて、税額控除の手続きに必要な「寄附金受領証明書」も発行されます。寄附金受領証明書は、控除申請に必要な書類のため、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。

なお、寄附金受領証明書は、返礼品と同梱されて届く場合もあれば、別送で届く場合もあります。どちらにしても、受領後すぐに中身を確認することをおすすめします。

ふるさと納税の控除上限額とは

ふるさと納税の控除上限額とは、寄附した金額のうち2,000円を差し引いた残りの金額が、住民税や所得税から控除される上限額を指します。上限額は人によって異なり、以下のような要素で決まります。

✓ 年収
✓ 家族構成
✓ 扶養親族の有無 など

例えば、控除上限額が3万円の方が5万円寄附すると、超えた2万円は控除されず、自己負担が増えるため注意が必要です。逆に、控除上限内の寄附であれば、自己負担は一律2,000円で済みます。税制上のメリットを最大限に活かすためにも、寄附前に控除上限額を把握しておきましょう。

控除上限額の調べ方

控除上限額を正確に知るには、源泉徴収票に記載された以下の情報が必要です。

✓ 支払金額(年収)
✓ 社会保険料等の金額
✓ 各種控除(生命保険料・地震保険料など)

情報をもとに、総務省が公表しているシミュレーション機能(外部リンク)を使えば、簡単に上限額の目安を把握できます。なお、源泉徴収票がまだ手元にない場合でも、おおよその年収がわかっていれば、簡易的な試算も可能です。

また、自分で計算したい方は以下の式を参考にしてください。

控除限度額 = (住民税の所得割額 × 20%) ÷ (100% - 住民税率10% -(所得税率 ×1.021)+ 2,000円)

控除上限額を超えていないか不安な方は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

ふるさと納税の駆け込み寄附はお得?今やるべき対策とは

2025年10月から、ふるさと納税ポータルサイトでのポイント付与が廃止されることが決定しています。
それに伴い、現行制度のメリットを最大限活用するために、今のうちにやっておくべき対策は以下の2つです。

● 2025年9月末までに寄附を済ませる
● クレジットカードで寄附決済をする

多くのポータルサイトでは2025年7月現在、還元率の高いキャンペーンが実施されています。また、ポータルサイトのポイントとは別に、クレジットカード会社が提供するポイントやマイルは引き続き対象です。例えば、1%還元のカードで5万円寄附すれば、500円分のポイントを獲得できます。2%還元の高還元カードを使えば、より高い実質還元も可能です。

ただし、制度変更直前の9月には、多くの人が駆け込みでふるさと納税を行うことが予想されます。欲しい返礼品が品切れになる前に、キャンペーン状況をチェックしながら、早めの行動を心がけましょう。

なお、名古屋総合税理士法人では、ふるさと納税の控除申請に不安がある方に向けて、安心してご利用いただける申請サポートサービスを提供しています。ふるさと納税のメリットを最大化したい方は、お気軽にご相談ください。

ふるさと納税「本来の目的」に立ち返る視点も大切

ポイント還元がなくなっても、ふるさと納税のメリット自体は変わりません。

ふるさと納税本来の目的は、地域支援や地方創生です。返礼品だけでなく、以下のようなかたちで地域とつながる体験こそが、ふるさと納税の大きな魅力です。

✓ ゆかりのある地域を応援できる
✓ 地域の未来づくりに参加できる
✓ 寄附金の使い道を指定できる など

ふるさと納税では、全国約1,600の自治体から寄附先を選べるため、生まれ育った場所や、家族の故郷、旅先で心に残ったまちなど、「自分にとって特別な地域」に思いを込めて寄附できます。返礼品がきっかけになることももちろん良いことですが、「応援したい自治体に貢献する」という視点も、これからのふるさと納税ではより大切になってくるでしょう。

まとめ

2025年10月から、ふるさと納税におけるポータルサイトのポイント還元が廃止されます。寄附のメリットが見直される中、制度の本質である「地域への貢献」が、これまで以上に重視されることになるでしょう。

なお、ポイント還元が廃止された後も、返礼品の受け取りや税控除といったふるさと納税の基本的なメリットは変わりません。ふるさと納税を賢く活用するには、制度の仕組みを正しく理解し、控除上限額を把握したうえで、無理のない範囲で計画的に寄附することが大切です。